2017年7月31日、2019年の世界文化遺産登録を目指す候補地に選出された、大阪の「百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群」。教科書でお馴染みの「仁徳天皇陵古墳」など、有名な巨大古墳が集中しているエリアです。今回は、世界遺産候補の1つである「百舌鳥・古市古墳群」についてご紹介します。
百舌鳥・古市古墳群とは?
「百舌鳥・古市古墳群」は、大阪・南部に広がる大小さまざまな古墳群の総称です。大きく2つのエリアに分かれており、堺市の「百舌鳥古墳群」、羽曳野市、藤井寺市の「古市古墳群」があります。
3都市にわたって点在する古墳群は、4世紀後半~6世紀前半頃に造られたものといわれています。当時は200基以上あったといわれており、現存する古墳は89基です。巨大な前方後円墳をはじめ、小さな円墳、方墳など、規模や形状が異なる多彩な古墳が残っています。
百舌鳥・古市古墳群の特徴
そもそも古墳とは、3世紀後半から約400年に渡って築造された墓のことです。水田稲作農耕が始まった弥生時代に、水田を中心とした集落が形成されたこと、それを治める首長がいたことを裏付ける遺構とされています。
百舌鳥・古市古墳群の特徴は、空中から見ないと全貌がわからない巨大な古墳があることです。墳丘長200m以上の古墳が11基も残っています。全国には墳丘長200mを超える大規模な古墳が40基ほどあるといわれていますが、この地域は特に巨大前方後円墳が密集しているため歴史的に注目すべき場所といわれています。
代表的な巨大前方後円墳は、「仁徳天皇陵古墳(墳丘長486m)」「応神天皇陵古墳(墳丘長425m)」「履中(りちゅう)天皇陵古墳(墳丘長365m)」などです。なかでも、仁徳天皇陵古墳は、エジプト・クフ王のピラミッド、秦の始皇帝陵に並ぶ「世界三大墳墓」の1つに数えられています。
さらに、百舌鳥・古市古墳群では被葬者の権力を示す副葬品が多数出土しています。甲冑(かっちゅう)、鏃(やじり)、刀剣といった当時貴重な鉄製品が大量にみられることから、被葬者に偉大な権力があったと考えられています。
ウォーキング・マップ片手に古墳をめぐろう
百舌鳥・古市古墳群を観光するなら、楽しく見学できるようガイドしてくれる「ウォーキング・マップ」の利用をおすすめします。現地での配布はもちろん、世界遺産の登録を目指す「百舌鳥・古市古墳群世界文化遺産登録推進本部会議」、堺市などの公式HPからダウンロードも可能です。
マップにはニーズや所要時間で分けた3種類のコースがあります。ビューポイントをめぐる「撮っておき(とっておき)!コース(3時間)」は、SNS向け写真を撮りたい方におすすめです。便利なレンタサイクル情報が掲載されているので、車がない方でもスムーズに回れます。
あわせて立ち寄りたい古墳にまつわる博物館「飛鳥博物館」
古墳についてくわしく知りたい方は、古墳関連の展示をする博物館「大阪府立近つ飛鳥博物館」へ足を運んでみてはいかがでしょうか。百舌鳥・古市古墳群エリアの近くにあります。
「日本古代国家の形成過程と国際交流をさぐる」をテーマに、築造当時の「大仙陵古墳」の模型や、実物大で再現した堅穴式石室、剣や刀、金具、耳飾りといった副葬品まで展示されています。
博物館の設計は、世界的な建築家・安藤忠雄氏によるもの。建物内は古墳の中に入っているようなユニークな構造、照明演出がされています。
さいごに
巨大前方後円墳が点在する「百舌鳥・古市古墳群」。大阪へ旅行しに出かけた際は、世界遺産候補地に選ばれた百舌鳥・古市古墳群へ訪れてみてはいかがでしょうか。