鶴仙渓(かくせんけい)は、大聖寺川の作る渓谷で、石川県加賀市山中温泉にあります。山中温泉の温泉街のすぐ東側にあり、温泉に訪れる観光客がのんびりと散歩する地として高い人気があります。季節ごとに変わる渓谷の自然の美しさ、様々な形の奇岩、そしてそこにかけられた3つの個性的な橋が、見る者を楽しませてくれます。山中温泉を訪れる際には必ず歩いてみるべきスポットです。
鶴仙渓とは?
鶴仙渓は、大聖寺川の作る渓谷です。この渓谷は北陸でも屈指の美しさで知られますが、「鶴仙渓」という場合は特に「こおろぎ橋」から「黒谷橋」までの1.3キロの区間を指します。ここには整備された遊歩道が通っており、四季によって変化を見せる景観と、3つあるそれぞれに個性的な橋を楽しむことができます。
鶴仙渓の見どころ
総ひのき造りの「こおろぎ橋」
「こおろぎ橋」は鶴仙渓のうちでも最も上流にかかる橋です。特徴としてはなんといっても、1990年に架け替えられて以来総ひのき造りである点が挙げられます。「こおろぎ」の名の由来としては二つの説があり、かつてここの行路が非常に危なかったので「行路危(こうろぎ)」と称されたというものと、秋の夜に鳴く昆虫の「こおろぎ」に由来しているというものがありますが、どちらが事実なのか明らかになってはいません。
独創的なフォルムの「あやとりはし」
1991年にかけられた「あやとりはし」は、鶴仙渓のちょうど真ん中の付近にあります。この独創的なS字形の形状は、いけばな草月流の三代目家元・勅使河原宏氏によってデザインされました。コンセプトは「鶴仙渓をいける」というもので、両岸を手に見立て、糸で「あやとり」をしているような形状になっています。もちろん「あやとりはし」という橋の名前は、ここからつけられています。
重厚な石橋「黒谷橋」
鶴仙渓と呼ばれる区間の最も下流には、様々な奇岩を多くみられる部分があり、ここが黒谷といわれます。ここにかかっているアーチ型の重厚な石橋が「黒谷橋」です。この石橋は1935年に架けられたものですが、それ以前にも木造の橋がありました。古くは、松尾芭蕉も『おくのほそ道』の道中にこの橋を渡ったと言われており、橋の近くには芭蕉を祀る「芭蕉堂」があります。
小松空港から鶴仙渓へのアクセス
小松空港から鶴仙渓のある山中温泉へは、路線バスとJR、または車でアクセスできます。
所在地:石川県加賀市 山中温泉下谷町
公共交通機関で
小松空港から小松駅までは、路線バスでアクセスできます。所要時間は約12分です。小松駅から加賀温泉駅まではJRで約10分。加賀温泉駅から山中バスターミナルまでは再度路線バスで約30分です。なお、山中温泉に宿をとる場合は加賀温泉駅までの送迎サービスがある場合がありますので、宿泊施設に確認しましょう。
車で
小松空港から山中温泉までは約35分です。
さいごに
石川県で訪れる温泉地を選ぶ際には、鶴仙渓を同時に訪れることのできる山中温泉をぜひ選択肢に入れて考えてみましょう。鶴仙渓の景色は季節によって異なる魅力を見せるので、訪れるシーズンも考え合わせるとよいでしょう。