海と山に囲まれた小さな港町・尾道は、年間約674万人以上の観光客が訪れる、広島でも特に人気が高い観光地です。映画、ドラマ、アニメなど数々の人気作品の舞台にもなってきました。今回は、多くの人々を魅了する尾道のおすすめ観光スポットを紹介します。
尾道へのアクセス・注意点
尾道へ行くには、自動車、新幹線・電車、飛行機、高速バスが主な交通手段です。千光寺などの仏閣は山沿いに集中しており、こうした観光スポット付近は道幅が狭く交通規制もあるため車を使うのはあまりおすすめできません。徒歩での移動が中心となります。坂道が多いので歩きやすい服装がおすすめです。
ガイドもしてくれる公式アプリをインストールしておこう
尾道は国内外からたくさんの人達が訪れる観光都市。尾道市観光協会では、主要な観光スポットの詳細情報やお役立ち情報をガイドしてくれる専用アプリを配信しています。スマホにインストールしておくと便利です。
アプリ名:尾道てくてく
尾道ってどんなところ?
広島県南東部に位置する尾道は、瀬戸内海と小高い山々との距離が非常に近い町です。海と言っても、実は本州側の尾道市と100メートル先にある向島に挟まれているのでかなり狭いです。中世より、瀬戸内海へと繋がるこの狭い「尾道水道」を使い、海運で栄えてきました。
山沿いは縁結びで有名な千光寺を始め、25カ所もの仏閣が集中しています。海沿いは尾道ゆかりの映画資料を集めた映画資料館や、サイクリングの聖地としても知られるしまなみ海道の起点があります。
尾道の町並み
戦火を逃れた尾道市は、大正・昭和初期レトロの面影を残した古民家が多く残されています。特に山手地区や商店街には江戸時代~昭和初期にかけて港街として栄えていた頃に流行したハイカラな洋風建築が多く残されています。この街並みも尾道のみどころの一つです。古民家を活用したカフェや工房も多いので、寄り道しながら散策できます。
尾道の定番スポットで観光を楽しむ
有名な仏閣のほとんどがJR山陽本線の線路を隔てた山手側に集中しています。各仏閣は小道で繋がっているので、歩いて回ることができます。
JR尾道駅から北口に出て山手側に進めば街並みを楽しみつつ古寺巡り、正面口から出れば新旧個性豊かな店が軒を連ねる海岸通りや商店街に立ち寄りながら目的の観光スポットへ向かうことができます。ここでは、おすすめの観光スポットをルート順に紹介します。
天寧寺
緩やかな坂道を登った先にあるのが、尾道中心部のランドマークともなっている重要文化財・海雲塔(三重塔)を有する曹洞宗の寺院・天寧寺です。1367年に足利義詮が建立しました。建立当時は五重塔だったそうです。
一つ一つ表情の異なる526体の五百羅漢はみどころの一つです。春にはしだれ桜やボタンが咲き誇り、花見を楽しむために訪れる人も多く見られます。
住所:広島県尾道市東土堂街17-29
アクセス:JR尾道駅から徒歩13分
千光寺ロープウェイ「山麓駅」から徒歩3分
猫の細道
艮神社の東側から天寧寺三重塔にかけた約200mの路地は「猫の細道」という愛称で親しまれており、付近には福石猫と呼ばれている可愛らしい猫の置物がたくさん置かれています。1つ1つ表情が異なるので、お気に入りのものを探しながら歩くのも楽しいです。界隈には空き家を再生したカフェや美術館がたくさんあるので、寄り道もおすすめです。
住所:広島県尾道市東土堂街付近
アクセス:JR尾道駅から徒歩15分
千光寺ロープウェイ「山麓駅」から徒歩1分
千光寺公園展望台・文学のこみち
ロープウェイ山麓駅すぐそばにある千光寺公園の展望台からは、尾道の街並みやしまなみ海道の島々を360度一望できます。天気がよければ四国山地も見られます。春は「さくらの名所100選」にも選ばれるほどの見事な桜が咲き誇ります。園内には尾道にゆかりのある作家25名の詩が刻まれた文学碑が建てられている「文学のこみち」と呼ばれる約1kmの散歩道があります。デートスポットとしても人気の場所です。
住所:広島県尾道市西土堂街19
アクセス:千光寺ロープウェイ「山頂駅」から徒歩1分
千光寺
千光寺は縁結びに御利益があることで全国的に有名ですが、数々の伝説や逸話を持つことでも知られる歴史ある寺院です。天寧寺と並ぶ尾道のシンボルのような存在です。徒歩で行くことも可能ですが、道中は傾斜の厳しい坂道が多いため、時間短縮にロープウェイを利用する人も多いようです。朱塗りの本堂には33年に一度しか開帳されない千手観音菩薩が収められています。また、玉の岩や鏡岩といった珍しい岩もあり、自然の神秘を感じることができます。白い紐と赤い紐が可愛らしい縁結びのお守りはお土産としても大人気です。
住所:尾道市東土堂街15-1
アクセス:JR尾道駅から徒歩16分
千光寺ロープウェイ「山頂駅」から徒歩9分
おのみち映画資料館・おのみち歴史博物館
市街地に戻って来たら、海沿いの市役所通りにある映画資料館と歴史博物館に立ち寄ってみましょう。もともとは明治時代に倉庫として利用されていた白壁の建物が印象的な映画資料館では、名監督小津安二郎の「東京物語」を始めとした名作の映画資料を収蔵しています。映画の世界観を堪能することができます。映画資料館に隣接している歴史博物館は、かつて銀行だった建物を改装しています。尾道の歴史に関する資料や美術品が収蔵されています。入館料は映画資料館が一般500円、歴史博物館が一般200円、どちらも中学生以下は無料です。なお、500円の共通券も販売されています。
住所:広島県尾道市久保1-14-10(おのみち映画資料館)
広島県尾道市久保1-14-1(おのみち歴史博物館)
アクセス:JR尾道駅から徒歩17分
平山郁夫美術館
平山郁夫美術館は、しまなみ海道中間地点の生口島にある美術館です。日本画壇を代表する画家・平山郁夫の少年時代や初期の作品、連作「シルクロード」、スケッチやラフなどの貴重な資料が収蔵されています。瀬戸田町で育った平山郁夫が、画家として大成するまでの軌跡の一端を垣間見ることができるでしょう。展覧会やイベントも定期的に開催されています。
住所:広島県尾道市瀬戸田町沢200-2
アクセス:しまなみ海道西瀬戸自動車道ICから生口島北IC下車、車で27分
ショッピングを楽しむ
古寺巡りを中心に定番スポットを巡ったら、今度はショッピングを楽しんでみましょう。海沿いには商店街、倉庫街を改装した商業施設が軒を連ねています。
尾道帆布
商店街中央に店舗を構える「工房尾道帆布」と「彩工房」では、尾道の伝統的な帆布を使った手作りの小物やバッグを販売しています。丈夫で色落ちしにくいので、普段使いにピッタリです。
自分好みの色を組み合わせたオリジナル商品の受注も行っています。
【工房尾道帆布】
住所:広島県尾道市土堂2-1-16
アクセス:JR尾道駅から徒歩10分
【彩工房】
住所:広島県尾道市土堂1-6-9
U2
自転車と一緒にチェックインできる珍しいタイプのホテルを備えた複合施設です。かつて倉庫として使われていた場所を改装しており、館内もその雰囲気を活かしたお洒落な内装です。ホテル以外にも、サイクルショップや雑貨店、レストランなど、お洒落な店がたくさんあります。オープンからわずか3年にして、全国から多くのサイクリストが集う人気スポットになっています。
住所:広島県尾道市西御所街5-11
アクセス:JR尾道駅から徒歩5分
尾道の街並みを海から眺める
尾道市と向島を隔てる尾道水道を遊覧するクルージングも人気です。海から尾道の街並みを楽しめるのはもちろん、しまなみ海道新尾道大橋をくぐったり、造船所の巨大な船を眺めたりとクルージングならではの楽しみも。クルージングを行っている運航会社はいくつかあるので、旅行プランや料金によって選択肢が豊富です。
料金
中学生以上:1,200円
小学生:600円
幼児:無料
・期間は4月~5月、7月~10月
・所要時間約40分
しまなみ海道
広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ全長約60kmの架橋です。風光明媚な瀬戸内海の景色を楽しめます。ルート上には向島、因島、生口島、大三島、伯方島、大島の6つの島も結ばれており、各島に降りることも可能です。各島を結ぶ橋はそれぞれ形・名前が異なるので見比べてみるのも楽しいです。
サイクリングを楽しむ
自転車道は平成30年3月31日までは無料で通行可能です。近年の自転車人気もあって、サイクリング目的に訪れる観光客は増えています。潮風を感じながら瀬戸内海の美しい島々を眺めたり、寄り道した島でグルメを堪能したりと、さまざまな楽しみ方ができます。なお、しまなみ海道のサイクリングリードは全長約70kmと自動車道よりも距離が長い。坂道も多く全てを走破するのは自転車に慣れている人でも厳しいため、初心者は予め見て回りたい島をピックアップしておくのがおすすめです。
グルメを楽しむ
尾道のご当地グルメといえば「尾道ラーメン」は外せません。魚介でダシを取った醤油スープに豚の背脂が加えられているのが特徴です。市内には老舗から新店舗まで多くの店があり、連日長蛇の列になるほどの人気店も。スープも麺も個性豊かなので、好みの尾道ラーメンを食べたいなら事前にリサーチしておきましょう。
さいごに
初めて訪れたのにどこか懐かしさを覚える。尾道はそんな不思議な魅力があります。文豪や詩人達、そして多くの人達に愛されてきた理由も、この町を訪れたらわかるのではないでしょうか。今回の記事を参考に、ぜひ尾道の旅を楽しんでください。